39CD +3DVD バロック・オペラ モンテヴェルディ スカルラッティ ラモー リュリ ヘンデル パーセル テレマン ヤーコプス クリスティ Baroque

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39CD+3DVD廃盤
ハルモニアムンディ/バロック・オペラ・ボックス
★バロック時代の17の重要オペラを収録!★CD39枚に15演目、DVD3枚に2演目★収録時間も47時間と大ヴォリューム。★CD-ROM1枚にリブレット(原語+英訳)★ブックレット4冊に欧文バロック・オペラ史掲載!
ハルモニアムンディ恒例の限定ボックス。バロック期に書かれたオペラの中から重要と目される作品を17曲選び、全演目のリブレット(原語+英訳)のファイルをCD-ROMに格納、さらにイタリア、フランス、イギリス、ドイツそれぞれのバロック・オペラの歴史について詳細に述べた4冊のブックレットと序曲集など補足的内容の2枚のCDを豪華ボックスに収めた内容となっています。収録時間も47時間と大ヴォリューム。ヤーコプスやクリスティによる最高水準の演奏で個々の作品を味わいながら、バロック・オペラの歴史についても理解を深められる便利なセットで、長らく廃盤になっていた『フラーヴィオ』『メデ』『グリゼルダ』『ヴィーナスとアドーニス』『リナルド』『クロイソス』という6つの作品が含まれているのも嬉しいところです。
=イタリア=・マドリガルなど/ヤーコプス、ほか(1CD)・モンテヴェルディ:オルフェオ/ヤーコプス(1DVD)・モンテヴェルディ:ポッペアの戴冠/ヤーコプス(3CD)・カヴァッリ:カリスト/ヤーコプス(3CD)・A.スカルラッティ:グリゼルダ/ヤーコプス(3CD)
=フランス=・リュリ:『アティス』/クリスティ(3CD)・M.A.シャルパンティエ:『メデ』/クリスティ(3CD)・M.A.シャルパンティエ:『病は気から』/クリスティ(1CD)・カンプラ:『イドメネ』/クリスティ(3CD)・ラモー:『優雅なインドの国々』/クリスティ(3CD)
=英国=・ブロウ:『ヴィーナスとアドーニス』/ヤーコプス(1CD)・パーセル:『ディドーとエネアス』/ヤーコプス(1CD)・ヘンデル:『リナルド』/ヤーコプス(3CD)・ヘンデル:『フラーヴィオ』/ヤーコプス(2CD)・ヘンデル:『ジューリオ・チェーザレ』/モーテンセン(2DVD)
=ドイツ=・ハンブルク・オペラの序曲集/ベルリン古楽アカデミー(1CD)・カイザー:『クロイソス』/ヤーコプス(3CD)・テレマン:『オルフェウス』/ヤーコプス(2CD)・グラウン:『シーザーとクレオパトラ』/ヤーコプス(3CD)
こちらで、ヤーコプス:諸録音CD,DVDを出品しております。
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こちらで、日本語対訳、日本語字幕付きオペラ;CD、DVDを出品しております。
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こちらで、クラシックDVDを出品しております。
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こちらで、ブルーレイ、ブルーレイ・オーディオを出品しております。
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こちらで、SACDを出品しております。
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【イタリア】オペラの歴史を語る上ではずせないのはイタリア。1597年に、イタリアのフィレンツェのバルディ伯の宮廷で、ペーリ、カッチーニらによる『ダフネ』(ギリシャ神話を題材)が上演されましたが、これがオペラの誕生、とされています。もちろん、それ以前にも、たとえばルネサンス時代には、上演された劇には、インテルメディオと呼ばれる、音楽的要素の強い幕間劇が挿入されていましたが、こうしたものはオペラの前身的存在といえるでしょう。オペラはフィレンツェからイタリア全土へ広まり、ヴェネツィアでも栄えるようになります。ヴェネツィア・オペラの最重要作曲家が、なんといってもモンテヴェルディです。「イタリア」の巻では、オペラの前身的な音楽を収録した1枚、そしてモンテヴェルディの最初のオペラ『オルフェオ』(1607年の初演が、バロック期の幕開けとされています)と彼の生涯最後の作品『ポッペアの戴冠』、そして同じヴェネツィア・オペラの巨匠カヴァッリと、ナポリ・オペラの重鎮アレッサンドロ・スカルラッティの名演と、オペラ音楽史を語る上で欠くことのできない重要作品が並びます。
Disc1・ヴェッキ:音楽劇『アンフィパルナッソス(パルナッソス山の二つの頂)』(初演:1594年)アンサンブル・クレマン・ジャヌカンドミニク・ヴィス(指揮、カウンターテノール)録音:1993年1月
・チプリアーノ・デ・ローレ[1516-1623]:Ancor che col partire(別れのときは)ヒリヤード・アンサンブル
・モンテヴェルディ:戦いと愛のマドリガル集(全曲)より『タンクレーディとクロリンダの戦い』『今や天と地と風が黙し』/アリアンナの嘆きサロメ・アレル、マリア・クリスティーナ・キール(ソプラノ)ヘルガ・ミューラー=モリナーリ(メゾ・ソプラノ)コンチェルト・ヴォカーレルネ・ヤーコプス(指揮)
オペラの原点的1枚。モデナ大聖堂楽長を務めたオラーツィオ・ヴェッキ[1550-1605]は、16世紀のマドリガル・コメディ(劇音楽)を切り開いた作曲家の一人として、音楽史的にも重要な人物。マドリガル・コメディとは、ルネサンス末期にイタリアで栄えた、多声マドリガーレのスタイルで作曲された娯楽音楽。ルネサンス時代に上演された劇には、インテルメディオと呼ばれる、音楽的要素の強い幕間劇が挿入されました。しかし、16世紀の末には、演劇の付属物ではない、劇そのものがまるごと音楽で表現されるような作品が生まれるようになり、その一つが、マドリガル・コメディでした。一種の合唱組曲で、舞台で演じるための作品ではなく、演奏会用の純然たる音楽作品です。その最も有名な例がこのヴェッキの作品。ほかにもモンテヴェルディの有名なマドリガルなどを収録した充実の1枚です。
Disc2 (DVD)・モンテヴェルディ:『オルフェオ』全曲(初演:1607年)
サイモン・キーンリーサイド(オルフェオ:バリトン)フアニタ・ラスカロ(エウリディーチェ:ソプラノ)グラシエラ・オッドーネ(使者の女:ソプラノ)マルティーナ・ダイク(プロセルピーナ:メゾ・ソプラノ)スティーヴン・ウォレス(希望:カウンターテノール)トーマス・トーマソン(プルトーネ:バス)ポール・ジェリモン(カロンテ:バス)、他トリシャ・ブラウン・カンパニーコンチェルト・ヴォカーレルネ・ヤーコプス(指揮)演出:トリシャ・ブラウン装置、衣装:ロラント・エシュリマン収録:1998年ブリュッセル、モネ劇場(ライヴ)
オペラ『オルフェオ』は、クラウディオ・モンテヴェルディ[1567-1643]の最初のオペラ。彼は、伝統的なポリフォニー書法による宗教曲やマドリガーレなどを次々と発表しますが、やがて1590年、北イタリアのマントヴァ公国の宮廷における、歌手兼ヴィオール奏者となります。以来、およそ20年以上にわたって、君主ヴィンチェンツォ・ゴンザーガ(在位1587~1612)のもとで活動を行いますが、1602年には宮廷楽長に昇格し、マドリガーレや宗教曲の創作と演奏に力を尽くしていました。このマントヴァの宮廷において、1607年に初演されたのが、このオペラ『オルフェオ』。翌年には2作目のオペラ『アリアンナ』を上演しています。1613年8月には、北イタリアのヴェネツィアのサン・マルコ大聖堂楽長に就任、以後30年にわたってヴェネツィアの音楽家として活躍、大聖堂のために新しい様式の教会音楽を数多く書いたばかりでなく、楽器の伴奏によって歌われる新しい様式のマドリガーレも作曲していきます。同時に、かつて仕えたマントヴァの宮廷などのためにオペラも書きましたが、やがて1637年、ヴェネツィアに史上最初の公開オペラ劇場が開設されると、ヴェネツィアの劇場のためにも新作オペラを書き、ヴェネツィア・オペラの最初の大家として、のちの作曲家たちに大きな影響を与えていくこととなったのです。物語は有名な「オルフェオとエウリディーチェ」の物語。律動的でそれまでよりも細かく書き込まれたレチタティーヴォ、声のヴィブラートの効果的な用い方、そしてリラの伴奏で歌われるオルフェオの歌など、音楽の力が全面に活かされた書法となっています。ヤーコプスは、モンテヴェルディの『オルフェオ』を何度も取り上げていますが、2000年前後は、数年ごとに新しいプロダクションを作っており、特に集中的に取り組んでいた時期でした。このDVDは、1998年にモネ劇場で上演されたブラウン演出のプロダクション。ブラウンはニューヨークを拠点に活躍するモダン・バレエの振付の大家。この舞台でも、ダンサー達が目覚ましい効果を上げています。歌手は、サイモン・キーンリーサイドの素晴らしいオルフェオを筆頭に、極めて充実しています。なお、2007年に発売された当時はドキュメンタリー映像が付属していましたが、ここでは、本編のみの収録となっています。
Disc3-5・モンテヴェルディ:『ポッペアの戴冠』全3幕(初演:1642年)
ダニエル・ボルス(ポッペア:ソプラノ)ギユメット・ロランス(ローマ皇帝ネローネ:メゾ・ソプラノ)ジェニファー・ラーモア(オッターヴィア:メゾ・ソプラノ)アクセル・ケーラー(オットーネ:カウンターテノール)ミヒャエル・ショッペル(セネカ(元老、哲学者、ネローネの師):バス)レナ・ルーテンス(ドルシラ:ソプラノ)ドミニク・ヴィス(乳母:カウンターテノール)クリストフ・ホンバーガー(アルナルタ:テノール)ギ・ド・メイ(宮廷人:テノール)コンチェルト・ヴォカーレルネ・ヤーコプス(指揮)録音:1990年2月
ポッペアの戴冠は、モンテヴェルディが1642年に完成した生涯最後のオペラ。題材を神話ではなく史実からとっていることや、また、脇役たちの活躍、さらに、音楽的にも半音階的なマドリガーレのスタイルを取り入れて劇的な効果を生んでいることなど、新機軸に富んだ力作となっており、オペラ史に燦然と輝く傑作です。物語は、ローマ皇帝ネロが、武将のオットーネの妻でローマ一の美女ポッペアと不倫の恋に落ち、ついには妻のオッターヴィアを追い出してポッペアが皇后の地位につく、というもの。言葉のリズム、語りのスピードが存分に生かされ、一点の曇りもない歌唱、精彩に富んだコントラスト付けなど、ヤーコプスの棒も冴えに冴えた名演です。1991年のフランス・ACCディスク大賞、イタリア・ヴィヴァルディ国際レコード大賞などを受賞した、世界的な名盤です。
Disc6-8・カヴァッリ:『カリスト』全曲(初演:1651年)
マリア・バーヨ(カリスト、「永遠」:ソプラノ)アレッサンドラ・マントヴァーニ(ディアーナ:ソプラノ)マルチェッロ・リッピ(ジョーヴェ:バリトン)サイモン・キーンリーサイド(メルクーリオ:バリトン)グラハム・プシェ(エンディミオーネ:カウンターテノール)ジル・ラゴン(カウンターテノール)ドミニク・ヴィス(カウンターテノール)コンチェルト・ヴォカーレルネ・ヤーコプス(指揮)録音:1994年8月(現在1993年収録の映像のみ流通。CDは入手不可。)
ヴェネツィア・オペラの名作。フランチェスコ・カヴァッリ[1602-1676]はモンテヴェルディの直弟子で、ヴェネツィア・オペラに興隆をもたらした作曲家として名高い人。『カリスト』は1651年に初演されたカヴァッリの代表作。女神ディアーナに仕えるニンフ、カリストにジョーヴェ(=ジュピター)が惹かれ、ディアーナの姿に変身して彼女を欺くものの、それを嫉妬したジョーヴェの妻ジュノーネがカリストを熊の姿に変えてしまい、ジョーヴェが彼女を天空の星にする・・・というようなお話。ギリシャ神話の世界に乗せて、コミカルな登場人物も交えながら、様々な恋愛模様が繰り広げられます。1994年に録音された当盤は、レコード芸術で特選となり話題となりました。
Disc9-11・A.スカルラッティ:『グリゼルダ』全曲(初演:1721年)
ドロテア・レッシュマン(ソプラノ)ローレンス・ザゾ(カウンターテノール)ヴェロニカ・カンジェミ(ソプラノ)ベルナルタ・フィンク(メゾ・ソプラノ)シルヴィア・トロ・サンタフェ(メゾ・ソプラノ)ベルリン古楽アカデミールネ・ヤーコプス(指揮)(現在入手不可)
アレッサンドロ・スカルラッティ[1660-1725]は、D.スカルラッティらの父。ナポリ派オペラの大家としてその名を歴史に残しています。このオペラ『グリゼルダ』は、高名なアポストロ・ゼーノの台本による、グァルティエーロ王の妻グリゼルダの物語。貧しい生まれのグリゼルダが、周囲から疎外されながらも、最後は王妃として返り咲く、といった話。スカルラッティ晩年の作品で、初演当時不運に見舞われるも、20世紀後半に「発見」され、今では代表作として高く評価されています。天下のヤーコプスが指揮した真打的なこの盤、「D.スカルラッティの父」ということばかり有名で、作品をよい演奏で聴く機会に恵まれない大スカルラッティのオペラが、まさにオペラ史上に燦然と輝く宝石であることを知らしめています。歌手も、幾多の共演でおなじみレッシュマン、ザゾ、フィンクに加え、ベルリンでのリナルドを歌ったトロ・サンタフェ、ミュンヘンでのバロック・オペラの常連カンジェミなど、この上ないものとなっています。
【フランス】フランスで初めて上演されたオペラは、イタリア・オペラでした。1644年から45年にかけて、若き国王ルイ十四世の威光を高めるために、イタリア生まれの宰相マザランの国策によってイタリア・オペラが輸入されるようになります。ただし、そっくりそのまま演奏するのではなく、フランス宮廷の趣味にあうように、バレエが付加・挿入され、舞台効果も華やかなものにされたものが主流でした。真のフランス・オペラが生まれるのは、1660年代から70年代にかけてのこと。フランス・オペラを語る上で欠かせないのが、リュリ[1632-1687]、シャルパンティエ[1643-1704]という二人の巨匠。ルイ14世の庇護の下、パリ音楽界に君臨していたリュリ。当時主流のフランス様式(壮大な「トラジェディ・リリック」=プロローグと5つの幕をもつ壮大なもの)の代表と目されたリュリがフィレンツェ生まれのイタリア人であったのに対して、イタリア様式(旋律+伴奏、劇的表現が特徴)の代表であるシャルパンティエは生粋のパリっ子でした。そのシャルパンティエがローマに渡り、1662~67年にかけてオラトリオの元祖カリッシミのもとでイタリア様式をたっぷりと学んで帰国した時、いち早くその才能に気付き、極力その成功の道を阻もうとしたのが他ならぬリュリでした。シャルパンティエは王宮の職も得られないまま、パトロンであるギーズ公爵夫人やイエズス会の学校の為に、オラトリオや牧歌劇などを書き続けていましたが、彼が目指していたのが本格的な歌劇であったことは恐らく間違いないでしょう。しかし当時のパリにおいて、すべてが歌われるオペラは宮廷やオペラ座すなわち王立音楽アカデミーのもので、オペラは王に仕えているリュリの専売特許のようなものになってしまっていたため、シャルパンティエは、オペラを発表する道は無いに等しかったのです。そんなシャルパンティエにチャンスがめぐってくるのはリュリの死後。リュリが亡くなったのは1687年春ですが、それを待ち受けていたようにシャルパンティエは翌87年の2月、歌劇『ダビデとヨナタン』を発表(イエズス会のために作曲)。そして、5年余りの期間を置いた上で、王立アカデミー(オペラ座)で、歌劇『メデ』を発表したのです。このふたりの巨匠の対立は、そのままイタリア様式対フランス様式の論争へと発展し、18世紀のブフォン戦争、更にはグルックのオペラ改革への道に至る素地ともなっていくのです。この「フランス」の巻では、リュリの傑作『アティス』、シャルパンティエの傑作『メデ』と、コメディ=バレエの『病は気から』、そしてリュリとラモーの中間世代にあたるカンプラの作品、そしてラモーの傑作『優雅なインドの国々』を収録しています。
Disc12-14・リュリ:『アティス』全曲(初演:1676年)
ギ・ド・メイ(アティス:テノール)ギュメット・ロランス(シベル(キュベレー):メゾ・ソプラノ)アニェス・メロン(サンガリート(サガリーティス):ソプラノ)ジャン・フランソワ・ガルディユ(セレヌス(セラエヌス):バス)ジャック・ボナ(イダス(イーダース):バス)、他レザール・フロリサンウィリアム・クリスティ(指揮)録音:1987年1月
平成元年度レコード・アカデミー賞音楽史部門受賞。受賞作品の選考会議において、音楽之友社社長の挨拶が始まる前に、約1分で受賞が決定したという超盤。発売当時のレコード芸術月評で服部幸三氏が「リュリのオペラを通して聴いてみたいというオペラ・ファン、音楽史ファンの長年の夢をついにかなえてくれた録音である。(中略)リュリ没後三百年を記念して1987年にパリ・オペラ・コミック座で、『アティス』の全曲上演が行われた。むろんリュリの死後初演である。その後、国外公演も行われ、このCDの登場となった」。皆川達夫氏も「ほとんど手つかずのジャンル作品を、理想的ともいえる名演総で聴かせてくれたことは、賞賛して賞賛すぎることはない。」と評しました。フランス・バロックの大家リュリの最大傑作と言われる歌劇『アティス』は奇怪な神話に基づき、類稀なる美青年その美しさゆえ多くの女性の誘惑と嫉妬にふりまわされ、ついには死に至るまでを父親との倒錯愛もからめて進行します。リュリの音楽は流麗。クライマックスの「復讐の場」をはじめ、クリスティの指揮も緊張感にあふれていて実に見事です。絢爛豪華な舞台装置、そしてプロローグに見られる宮廷への配慮など、時代の精神と趣味とを反映していると同時に、国王の宮廷と直接結びつきつつ、「恋する英雄」という主人公にルイ王自身を映しているような、時代そのものの結晶とも言うべき大作です。
Disc15-17・M.A.シャルパンティエ:『メデ(メディア)』全曲(初演:1693年)
ジル・フェルドマン(ソプラノ)ジャック・ボナ(バス)ソフィー・ブラン(ソプラノ)フィリップ・カントール(バリトン)アニェス・メロン(ソプラノ)、他レザール・フロリサンウィリアム・クリスティ(指揮)録音:1984年4月、ヴェルサイユ宮劇場(現在入手不可盤)
シャルパンティエ最大の傑作とも言われながら、17世紀末の初演以来ほとんど返り見られず、再演されぬままとなっていた(これには前述のリュリとシャルパンティエの対立も影響していると考えられます)、幻の名作の復活演奏。音楽的には、シャルパンティエには珍しく、あらゆる点でリュリが確立したグランド・オペラの様式をそのまま踏襲しています。フランス風序曲(ただしこの演奏ではテンポが早目にとられているため、荘重と言うよりは華麗な印象)に始まるプロローグ付き5幕立ての構成、各幕に用意されたバレエ、装飾的で優雅な歌唱、独唱ばかりでなく、重唱や合唱、さらには間奏や舞曲などの器楽曲を加えての、変化に富んだ曲の組み合わせ、舞曲調の軽快なリズムなどなど、リュリのオペラに見られるあらゆる手法がこの作品に集大成されていると言っても過言ではありません。更に、シャルパンティエが得意とするイタリア様式の応用も盛り込まれているため、フランス様式に比べて遥かに感情的で、なめらかに流れる旋律の動きや激しいまでの劇的な起伏、大胆なハーモニーがみられます。物語そのものはギリシャ神話の英雄物語に基づいたもの。黄金の羊毛を見事獲得した英雄ジャゾン(イアソンのフランス名)とその妻メデ(メデア)の愛と憎しみを主題としています。アルゴ船の隊長ジャゾンは黄金の羊毛を手に入れ、妻メデと2人の幼児と共にコルキスを脱出したものの、追われる身となり、ようやくコリントに到達する。コリントの王女クレユーズ(クレウサ)はオロンテという許婚者を持ちながら、ジャゾンと恋におちる。英雄ジャゾンの力を半永久的に得たいコリント王クレオン(クレオンテ)は彼をクレユーズの婿に迎えようと画策し、メデを国外追放にしようとする。すべてを察知したメデは怒り狂ってクレオンを狂気に陥れ、彼にオロンテをさし殺させた上で自害させ、クレユーズに有毒の衣装を贈って殺した上、我が子2人をも手にかけ、コリントの町に火をかけて、龍に乗って飛び去る、という内容です。
Disc18・M.A.シャルパンティエ:病は気から~音楽と舞踊を織りまぜた喜劇~(コメディ=バレエ)(初演:1673年)
モニク・ザネッティ(ソプラノ)ドミニク・ヴィス(カウンターテノール)ハワード・クルック(テノール)、他レザール・フロリサンウィリアム・クリスティ(指揮)録音:1990年4月
コメディ=バレエとは、17世紀後半のフランスの音楽劇の一形態で、モリエールとリュリによって考案されたもので、喜劇の筋を、音楽と舞踊が補強するもの。モリエールとリュリは不和におわり、次いでモリエールはシャルパンティエと組むようになります。シャルパンティエは、モリエールの「国王の劇団」(のちのコメディ・フランセーズ)のために、生涯を通じて20作ほどを遺しています。この『病は気から』は、羊飼いたちの太陽王ルイ14世へのお追従に始まり、思いを寄せる女性への愛の語らいを夜讐に邪魔される男、周囲の人々に医者に仕立てられる男など、現代にも通じるギャグとペーソスに溢れる喜劇。活気に満ちた音楽に出だしから圧倒されます。壮麗なフランス風序曲、5声合唱など、魅力満載の音楽となっています。モリエールは、1673年2月17日に、このコメディ=バレエの4日目の公演で主人公アルガンを演じ、第3幕間劇の台詞をしゃべっている最中に倒れ、翌日息をひきとってしまいました。この録音では、第3の幕間劇でクリスティ自身が出演して、大いに笑わせてもくれる最高の1枚です。※この演奏では、第1の幕間劇の『バレエの最後の大アントレ』といくつかの舞曲の繰り返しが省略されています。
Disc19-21・カンプラ:『イドメネ(イドメネオ)』1731年改訂版全曲(初演:1712年1月)
ベルナール・ドルトレ(イドメネ:バス)ポール・フシェクール(イダマンテ:テノール)モニク・ザネッティ(イリオーヌ:ソプラノ)サンドリーヌ・ピオー(エレクトル:ソプラノ)レザール・フロリサンウィリアム・クリスティ(指揮)録音:1991年10月(現在入手不可盤)
アンドレ・カンプラ[1660-1744]は、ルイ14世時代の後半からルイ15世時代の前半にかけて活躍した、いわゆるヴェルサイユ楽派の中でもとくに重要な作曲家の一人。カンプラといえば『レクィエム』を中心とする宗教曲が有名ですが、カンプラが手掛けた分野の中で、重要なのはオペラです。当時は、リュリらが確立した、プロローグと5幕によって構成され、神話に基づく壮大なトラジェディ・リリックが主流でしたが、カンプラは、台本作家とともに、「フランス人の忍耐のなさに適した」オペラ・バレを確立します。オペラ・バレでは、陽気な伊達者、ほれっぽい女性たち、浮気な召使たちが登場します。この『イドメネ』は典型的なトラジェディ・リリックですが、このジャンルでもカンプラの腕は冴えていて、のちにモーツァルトのオペラ『イドメネオ』が生れるきっかけの一つともなった作品です。このカンプラの作品は、のちにモーツァルトが『イドメネオ』を書くきっかけとなりましたが、その物語は少し違っています。モーツァルトの『イドメネオ』はハッピーエンドですが、このカンプラのものは悲劇。トロイアを陥落させたクレタの王イドメネは、クレタに帰還する間に海の嵐に合うが、海神ネプチューンの力をかりて嵐を鎮めてもらう。その交換条件として、イドメネは、岸に上がって最初に出会ったクレタ人を、神の犠牲として殺すことを約束する。その初めてであった男こそ、自分の息子のイダマンテ。悩むイドメネを軸に、恋模様などが描かれます。父が愛する女性イリオーヌは息子イダマンテを愛しており、父は息子を遠方に赴任させることにします。船に乗り込む場面で、父は錯乱し、息子イダマンテを殺してしまい、その後正気にかえり、自らも命を絶とうとするも、周囲にとめられ、イリオーヌが死を決意して幕となるというもの。
Disc22-24・ラモー:『優雅なインドの国々』(オペラ=バレエ)(初演:1735年)
クロラン・マクファーデン、イザベル・プルナール、サンドリーヌ・ピオー(ソプラノ)、他ハワード・クルック、ジャン=ポール・フシェクール、(テノール)ジェローム・コレア(バリトン)ニコラス・リヴェンク(バス・バリトン)ベルナール・デルトレ(バス)レザール・フロリサンウィリアム・クリスティ(指揮)録音:1991年1月
オペラ作曲家としては遅咲きだったジャン=フィリップ・ラモー[1683-1764]。その代表作『優雅なインドの国々』は、1735年の初演から40年近くの間に、部分改訂がなされながらも700回も上演されたといいます。この中から4つの管弦楽組曲、クラヴサン編曲などが出版されています。この『優雅なインドの国々』は、各幕に1つの逸話があり、バレエを随所に取り入れたオペラ=バレエ。第1幕の『寛大なトルコ人』の舞台はインド洋トルコ島。海賊に囚われたプロヴァンスの娘と、そこにたまたま難破船でたどりついた彼女の恋人をめぐるひと騒動。第2幕の火山山岳地帯の砂漠が舞台の『ペルーのインカ人たち』は、スペインとインカの娘が相思相愛だったのに、司祭が横恋慕するも、司祭は噴火火山の溶岩に呑みこまれてしまうといった話。第3幕は気分は一転、華やかな花々の踊りで幕を閉じます。終幕の『未開人たち』北アメリカの森林地帯が舞台。柄の長いパイプを持って踊る「平和のパイプの踊り」など見どころ満載です。オペラ=バレエといいながら、声楽曲に比べて純粋な舞曲が少なく、バレエと呼べる顕著なものは唯一、第3幕の終幕くらいですが、この作品が舞台で大勢の踊り手によって華麗に上演された時、当時のそれまでの作品とは比較にならないほどバレエが占める重要度は増したことは確かでしょう。しかもリュリはクープランやバッハらが書いたような、様式化された舞曲ではなく、宮廷舞踊と同時に民衆の間に根付きつつあった舞踊、リゴードンやミュゼットといったものも幅広く取り入れているのもポイントです。物語は異国要素満載なのに、音楽には異国情緒を感じさせる打楽器なども特に用いられておりませんが、それでも当時の観客に異国趣味を満喫させてくれる作品としてもてはやされたのは疑いのない事実で、これによりラモーの名声は一気に高まっていきます。尚、このCDで使用している楽譜は基本的には1743年度改訂版となっています。
【イギリス】8世紀から19世紀にかけて、明確なオペラ伝統を持っていた国は、イタリア、フランス、ドイツに限られていました。イギリスでは、セリフの部分と音楽の部分が交互にあらわれる音楽劇的なものが流行していました。1706年3月に、イタリア・オペラ(ボノンチーニが作曲した『カミッラ』)の英語上演が為され、大変な人気となり、1709年までに60回を超す上演数をかぞえます。聴衆の、イタリア・オペラ熱が高まってきた1710年に、イタリアでオペラをバッチリ吸収してきたヘンデルがロンドンに渡ります。翌1711年『リナルド』が上演されると、ロンドンでのイタリア・オペラ熱は爆発し、オペラ団体「ロイヤル・アカデミー」が組織されるほどとなりました(この団体はあまりに高価な歌手への謝礼や、当時の経済情勢で富裕層が一気に経済的破綻をきたしたことなどから、1720年の第1作上演から、わずか8年後の1728年には解散に追い込まれます)。ここではイギリスにおけるオペラの前身ともいえるブロウによる劇音楽、そしてブロウの弟子のパーセル、そしてヘンデルのロンドン・デビュー作『リナルド』と、ロイヤル・アカデミーの活動華やかなりし頃、ロンドンでのイタリア・オペラ熱が最高潮だった頃に書かれた『フラーヴィオ』、そして『ジューリオ・チェーザレ』を収録。是非とも揃えておきたい作品が並びます。
Disc25・ブロウ:『ヴィーナスとアドーニス』~王の愉しみのための仮面劇(初演:1681年)
ローズマリー・ジョシュア(ヴィーナス:ソプラノ)ジェラルド・フィンリー(アドーニス:バリトン)マリア・クリスティーナ・キール(羊飼いの女:ソプラノ)ロビン・ブレイズ(キューピッド:カウンターテノール)、他クレア・カレッジ聖歌隊(合唱指揮:ティモシー・ブラウン)エイジ・オブ・インライトゥメント管弦楽団ルネ・ヤーコプス(指揮)録音:1998年10月(現在入手不可盤)
王政復古から名誉革命にかけて活躍し、パーセルの師と言われるジョン・ブロウ[1649-1708]。世俗音楽の分野に情熱を傾けたパーセルに対し、ブロウは儀礼典礼音楽に関心を注ぎました。そのブロウ唯一の劇音楽が、国王チャールズ2世のために書かれた『ヴィーナスとアドーニス』。1681年の初演は、チャールズ2世とその宮廷の人々を前に行われました。ヴィーナス役はチャールズ2世の愛妾であったメアリー・デイヴィス、その娘で当時わずか9歳のメアリー・テューダーがキューピッド役を歌ったといいます。ヴィーアスとアドーニスの物語はギリシャ神話に基づきます。アドーニスは、稀有な美少年。ヴィーナスは、ペルセポネーにアドーニスの養育を頼みますが、その美しさに心を奪われたペルセポネーがアドーニスを返さなかったので、二人の女神の間に諍いがおこり、ゼウスの裁定で、アドーニスは1年の3分の1ずつを2人の女神のもとですごすこととなります。アドーニスは狩猟の最中に猪の角に突かれて死に、その血からアネモネが、彼の死を悲しむヴィーナスの涙からばらが生じたともいわれています。音楽的にも、ヴィーナスがアドーニスの死を悲しむ場面で聴かれる対話がクライマックス。切々とした表現は、パーセルの『ディドーとエネアス』の最後の部分と比べても何の遜色もなく、しかもブロウのほうが何年も前にこの作品を書いていることを考えるにつけ、規模は小さいながらも、やはりブロウの存在の大きさを実感する名作です。
Disc26・パーセル:『ディドーとエネアス(ダイドーとイニーアス)』全曲(初演:1684-85/ 1689?)
リン・ドーソン(ディドー:ソプラノ)ローズマリー・ジョシュア(ベリンダ:ソプラノ)ジェラルド・フィンリー(エネアス:バリトン)ドミニク・ヴィス(第一の魔女:カウンターテノール)マリア・クリスティーナ・キール(第2の女:ソプラノ)、他クレア・カレッジ聖歌隊ジョン・トール(チェンバロ)ナイジェル・ノース(テオルボ)ポーラ・シャートーヌフ(ギター)エイジ・オブ・インライトゥメント管弦楽団ルネ・ヤーコプス(指揮)録音:1998年10月
1680年代前半頃に作曲されたとされる、パーセル[1659-1695]の本当の意味での唯一のオペラ。もとはイギリスの宮廷のために書かれたささやかな出し物であり、作曲者の生前には1度か2度しか上演されなかったとされています。神話の主題、田園的な舞台設定、形式の簡潔さ、舞曲の重要性といった要素がみられますが、これは当時のイギリス宮廷の好みを反映したもの。これは同時に、当時のフランスでシャルパンティエが書いていた室内オペラの特徴でもあるのですが、これはフランスで亡命生活を送っていたチャールズ2世がフランス音楽を好んだため、パーセルが「フランス風の」出し物を、と考えた可能性は十分にあるといえるでしょう。ヤーコプスは欠落している場や楽器のギター・パートを音楽学者の協力で蘇生させています。充実の歌手陣も魅力。
Disc27-29・ヘンデル:『リナルド』 HWV.7a全曲(初演:1711年)
ヴィヴィカ・ジェノー(リナルド:メゾ・ソプラノ)インガ・カルナ(アルミーダ:ソプラノ)ローレンス・ザゾ(ゴッフレード:カウンターテノール)ミア・パーション(アルミレーナ:ソプラノ)ジェイムズ・ラザフォード(アルガンテ:バス)クリストフ・デュモー(エウスターツィオ:カウンターテノール)ドミニク・ヴィス(キリスト教徒の魔法使い、伝令:カウンターテノール)フライブルク・バロック・オーケストラルネ・ヤーコプス(指揮)録音:2002年(現在入手不可盤)
ジョージ・フレデリック・ヘンデル[1685-1759]のロンドン・デビュー作。1711年2月に初演、6月までに15回上演された、初演時から大成功をおさめた傑作。これにより、ロンドンの聴衆は、流行のイタリア・オペラの優れた新作を、優れたイタリア人歌手、豪華な舞台セットで聴く喜びに目覚め、イタリア・オペラ熱は一気に高まり、1720年にオペラ団体ロイヤル・アカデミーが設立されるきっかけともなったのです。この『リナルド』は、イタリア時代の作品のいいとこどりの転用も多く為されているので、全篇とても充実しています。物語の舞台は11世紀末の第一次十字軍の時代、エルサレム。騎士のリナルドとゴッフレードの娘アルミレーナの恋の物語ですが、アルミレーナが怪物たちにさらわれて囚われの身となってしまい、彼女を助け出す方法を教えてもらいにゴッフレードらが魔法使いのもとを訪ね、実際に魔法の力で彼女を助け出すという奇想天外な物語。最後はリナルドとアルミレーナは無事に結ばれます。色彩豊かで印象的なオーケストレーション(3本のリコーダー、4本のトランペット)、また、変身の場面や行進の場面、戦いの場面などでも多くの器楽曲が用いられていて、劇的効果も満点の傑作です。
Disc30-31・ヘンデル:『フラーヴィオ』 HWV.16全曲(初演:1723年)
ジェフリー・ギャル(フラーヴィオ:カウンターテノール)デレク・リー・ラギン(グイード:カウンターテノール)レナ・ローテンス(エミーリア:ソプラノ)ベルナルダ・フィンク(テオダータ:メゾ・ソプラノ)、他アンサンブル415ルネ・ヤーコプス(指揮)録音:1989年10月(現在入手不可盤)
1989年のインスブルック古楽祭でセンセーションを巻き起こした直後の録音。ヘンデルのレアなオペラの唯一のCDで、レコード芸術特選で日本でも話題となりました。『フラーヴィオ』は、1720年に設立されたロイヤル・アカデミーの第4シーズン(1722~23年)用に作曲されたオペラ。作曲開始は1723年4月、完成は同年5月7日。この時期はロイヤル・アカデミーの、というより、ヘンデルの30年に及ぶオペラ活動の最も華やかなりし頃でした。『フラーヴィオ』は完成から僅か1週間後の1723年5月14日に初演され、そのシーズン中に8回上演されました。物語は王朝もの。これは当時のオペラの聴衆がほとんど王侯貴族であったことから派生したごく自然な結果。但し、ヘンデル・オペラのほとんどがヒロイックであるのに対して、『フラーヴィオ』はむしろコミックでさえあります。コミックな側面は主としてフラーヴィオの絡んだ三角関係によって演出されています。あらすじは、ロンバルディアの王フラーヴィオは妻がありながらテオダータに一目惚れし、彼女とその恋人ヴィティージェの仲を危機に陥れる。しかし、二人の仲を知り、手をひく。というメインのお話の中に、王の相談役ウゴーネとロターリオ、そしてその二人の子供たちの恋模様や、ウゴーネとロターリオの決闘などが織り込まれています。最後はフラーヴィオがうまく采配し、皆幸せのうちに幕となります。音楽面でとりわけ光っているのが、レチタティーヴォ。ヘンデルのオペラは、レチタティーヴォによる巧みなたたみかけが成功して初めて、続くアリアも生きてくるのですが、このヤーコプスによる演奏は、実に見事。レチタティーヴォのどんな一言、どんな間もおろそかにすることなく、ドラマを築いています。一本の緊張の糸で音楽を織り上げてゆくヤーコプスの手腕は驚嘆のほかありません。
Disc32-33 (DVD)・ヘンデル:『ジューリオ・チェーザレ(エジプトのジューリオ・チェーザレ)』全曲(初演:1724年)
アンドレアス・ショル(ジューリオ・チェーザレ:カウンターテノール)インガー・ダム=イェンセン(クレオパトラ:ソプラノ)トゥーヴァ・セミングセン(セスト:メゾ・ソプラノ)ランディ・ステーネ(コルネリア:メゾ・ソプラノ)クリストファー・ロブソン(トロメーオ:カウンターテノール)パーレ・クヌーセン(アキッラ:バリトン)マイケル・マニアチ(ニレーノ:男声ソプラノ)コンチェルト・コペンハーゲン(ピリオド楽器使用)ラース・ウルリク・モーテンセン(指揮)演出:フランシスコ・ネグリン収録:2005年(ライヴ)
『ジューリオ・チェーザレ』は、ロイヤル・アカデミーのために作曲された5作目のオペラ。1724年2月の初演時には超豪華キャストを起用して13回の公演が行われました。初演と同年、パリでも演奏会形式の上演が行われ、25年から37年にかけてもハンブルクなどで上演されたといいますから、人気がものすごかったことが窺われます。独奏ホルンを伴ったジューリオ・チェーザレの充実のアリアや、壮麗なオーケストラ編成など、ヘンデルの劇的な説得力に富む力作といえるでしょう。物語は紀元前48~47年のユリウス・カエサル(ジューリオ・チェーザレ)のエジプト遠征に基づいたもの。ジューリオ・チェーザレとクレオパトラとの人間模様を軸に、様々な陰謀などが描かれます。2002年5月にデンマーク王立歌劇場で上演された『ジューリオ・チェーザレ』は、ショルの圧倒的なタイトルロールを始め、極めて高い水準の舞台が大きな話題になりました。この映像は、2005年3月の再演をデンマーク放送が収録したもの。なんと言ってもショルのチェーザレ!持ち前の美声に加え、凛々しさと気品もあって、かつ男っぽさ十分で、圧倒的!モーテンセンの率いるコンチェルト・コペンハーゲンの才気が走る演奏も特筆すべきでしょう。フランシスコ・ネグリンの演出は、おしゃれに現代化した素敵な舞台です。
【ドイツ】バロック期のドイツにおいて、重要なオペラ都市のひとつがハンブルクでした。1615年、世界初の歌劇場がヴェニスで誕生したのに続き、1678年、ドイツで最初の歌劇場が建設されたのがハンブルクでした。この地では、ラインハルト・カイザーが、当時イタリア・オペラが席巻していた中で、ドイツ語のオペラを50以上も書きました。カイザーの下には、1703年頃、若きヘンデルもオペラを学びに訪れています。また、カイザーが書いたドイツ語による、減七の和音の多様、唐突な和声の変化などを巧みに取り入れた劇的なレチタティーヴォやアリオーソは、バッハの諸受難曲の先駆的存在だったといえるでしょう。このドイツの巻では、カイザーをはじめ、エルレバッハ、シュールマン、テレマンら豪華な名前が並ぶハンブルクの重要作品を収録しています。
Disc34序曲集~ハンブルク・オペラの序曲集・ゲオルク・カスパール・シュールマン[1672/73-1751]:組曲『ルートヴィヒ1世(敬虔帝)』(1726)・フィリップ・ハインリヒ・エルレバッハ[1657-1714]:序曲第4番 (1693)・ラインハルト・カイザー[1674-1739]:アルミーラ(舞曲組曲) (1726)・ヨーハン・クリスティアン・シーフェルデッカー[1679-1732]:音楽コンセール (1713)より第1コンセール
ベルリン古楽アカデミー録音:2004年2月(現在入手不可盤)
ハンブルク歌劇場の初期40年間に歌劇場のために書かれた序曲や組曲をまとめたもの。
Disc35-37・カイザー:『クロイソス』全曲(初演:1711年)
ドロテア・レッシュマン(エルミーラ:ソプラノ)ヴェルナー・ギューラー(アティス:テノール)ローマン・トレーケル(クロイソス:バリトン)クラウス・ヘーガー(オルサネス:バス)ヨハネス・マンノフ(ツィールス:バリトン)、他RIAS室内合唱団ハノーファー少年合唱団のメンバーベルリン古楽アカデミールネ・ヤーコプス(指揮)録音:2000年3月(現在入手不可盤)
埋もれた大傑作がヤーコプスの魔術のような演奏で眩い光を浴び復活しました。ドイツ・バロックの作曲家、カイザーの『クロイソス』。イタリア・オペラ一辺倒だった当時、ドイツ語による作品で人気を博した彼の最高傑作とされています。裕福なリディア王クロイソスがペルシャ王ツィールスに打ち負かされるまでを筋としていますが、盛りだくさんのエピソードを含み、聴き応え満点。作品にほれ込んでいるというヤーコプス、以上なまでの熱気に満ちた演奏を繰り広げています。
Disc38-39・テレマン:『オルフェウス』全曲(初演:1726年)
ドロテア・レッシュマン(オラジア:ソプラノ)ローマン・トレーケル(オルフェウス:バリトン)ルート・ツィーザク(エウリディーチェ:ソプラノ)マリア=クリスティーナ・キール(イズメーネ:ソプラノ)ウェルナー・ギューラ(オイリメデス:テノール)、他ベルリン古楽アカデミールネ・ヤーコプス(指揮)録音:1996年10月(現在入手不可盤)
テレマン[1681-1767]の堂々たる3幕から成るオペラ。1726年、ハンブルクの歌劇場で演奏会形式で初演されました。1722年、テレマンはハンブルク・オペラの音楽監督となり、38年にそれが閉鎖されるまでその責にありました。あらすじはオルフェオとエウリディーチェの物語。基本的にドイツ語ですが、ヘンデルやリュリのオペラからの引用がみられ、そこでは伊・仏語で歌われる部分もあります。キャストも、レッシュマンをはじめ、トレーケルに、ショルティの2回目の『魔笛』にも参加しているツィーザクなど豪華な顔ぶれであることも話題となりました。
Disc40-42・グラウン:『シーザーとクレオパトラ』全曲(初演:1742年)
ジャネット・ウィリアムズ(クレオパトラ:ソプラノ)イリス・フェルミリオン(チェーザレ:メゾ・ソプラノ)リン・ドーソン(コルネリア:ソプラノ)マリア=クリスティーナ・キール(セスト:ソプラノ)、他RIAS室内合唱団コンチェルト・ケルンルネ・ヤーコプス(指揮)録音:1995年(現在入手不可盤)
グラウン[1703/4-1759]は、フリードリヒ大王のもとでベルリン・オペラの楽長を務めた人物。自身すぐれたテノール歌手でもありました。1742年、ベルリン王立歌劇場(「リンデン・オペラ」)のこけら落し公演がグラウンのこの『シーザーとクレオパトラ』でした。グラウンはフリードリヒ大王に篤い信頼を得ていたものの、大王の気に入らないアリアなどを書くと書き直しを命じられるなど、「グラウンはただ王の趣味に合わせて仕事をしたに過ぎない」と評する人もいます。とはいえこの『シーザーとクレオパトラ』はこんな傑作がなぜ埋もれていたのだろう、と思わせるほどに、ヤーコプスの演奏が素晴しい!ヤーコプス・ファンならば是非手元に置いておきたいオペラです。
コンディション良好。
発送は、ゆうパックおてがる版100サイズを予定しています。土曜、日曜日は発送作業ができませんこと、ご了承ください。9093円39CD +3DVD バロック・オペラ モンテヴェルディ スカルラッティ ラモー リュリ ヘンデル パーセル テレマン ヤーコプス クリスティ Baroque音楽CD2023年最新】Yahoo!オークション -モンテヴェルディ(オペラ)の中古品
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